五輪メダル増産を目指してトップ選手を強化するため昨年、国が設立した「味の素ナショナルトレーニングセンター」(NTC、東京都北区)が、日本オリンピック委員会(JOC)から徴収する年間利用料を設立わずか1年で半分近くに減額する事態になっている。監督官庁の文部科学省が甘い見積もりで料金設定したのが原因だ。370億円を投入して整備した施設にもかかわらず、ずさんな見積もりに批判の声も上がっている。
21年度補正予算で117億円の建設費が計上され、野党などから“国営マンガ喫茶”と揶揄(やゆ)される「国立メディア芸術総合センター」でも、文科省は甘い見通しを指摘されている。
≪「高額」にJOC悲鳴≫
NTCは平成20年1月にオープン。バレーボールや柔道、卓球など12競技の専用施設や選手の宿泊施設を備え、JOCが強化合宿などで使用する。
JOC側は、英国などの例を挙げて利用料無料を要望したがまとまらず、20年度の年間利用料はスポーツ施設が1億1400万円、宿泊施設が2億8千万円の計3億9400万円にのぼった。本来、JOCの加盟各団体が負担する予定だったが、巨額のためJOCが肩代わりしている。
文科省によると、スポーツ施設の料金設定の参考にしたのは一般的な公的施設で、選手の施設利用時間を1日8時間と見積もった。しかし、「いかにトップクラスの選手でも1日8時間は練習しない」(JOC)上、海外遠征も多く、初年度の利用実績は1日4時間にとどまった。宿泊施設に至っては、稼働率を100%という人気ホテルでもあり得ない数字を前提に計算。実際は55%だった。
当初の額では各団体の負担額が1000万円近くになるため、JOC側は値下げを要請。実際の利用時間や稼働率を参考に計算し、JOCと話し合った結果、スポーツ施設は5600万円、宿泊施設は1億7千万円と計2億2600万円にまで引き下げられた。
≪「設定に無理」と疑問≫
文科省側はこうした“計算違い”について、「初めてのナショナルトレーニングセンターとあって、競技団体側も長時間使用したいと強く要望していた」と説明。しかし、JOC側は「練習時間も稼働率も、もともとの設定に無理があった」と疑問を投げかける。
自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」の河野太郎衆院議員も今月8日に実施したヒアリングで「文科省の施設整備は計画がずさん。練習時間や負担可能な額などはもっと調査できたはず。トレセンが1年で計画が変更されたのをみると、『国営マンガ喫茶』も想像できる」と厳しく批判した
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